ステンドグラスが照らし出す轟音と哀愁のフィナーレ
特設ステージ「Boro the Party」でクラブ・シーンの熱狂が渦巻いたあと、ボロフェスタ2日目のトリを飾ったのは、あらかじめ決められた恋人たちへ。
長年のキャリアで培われた風格と演奏力で会場をまるごと飲み込み、観客をあら恋の世界へと引きずり込む圧巻のパフォーマンスだった。
1曲目「翌日」では壮大なピアノ・フレーズから幕を開け、やがて轟音が会場を包み込む。そこに差し込まれる池永正二(Mel&Track)による鍵盤ハーモニカの哀愁的なフレーズで序盤から感情が掻き乱される。
続く「Come」「前日」では一転してテンポが上がり、身体が自然と解放されていく。クリテツ(テルミン&perc)のテルミンが幻想的なリード・フレーズを描き、ダブの音像とともに陶酔へと導かれていく。ラストの「火花」は、メランコリックな情景から光へと抜け出すような演奏で、感情がさらに爆発する。

本編が終わると、割れんばかりの拍手と歓声が響く。アンコールに応えて演奏されたのは「Back」。イントロの感傷的な鍵盤の音色が鳴った瞬間、KBSホールに大きな歓声が湧き上がる。ベルの音色とコーラスが重なり合い、そしてイントロ後の解放的な展開に差し掛かったとき、会場奥のステンドグラスのカーテンが開く。轟音のなかに情感のにじむメロディが響きわたり、夢のような余韻を残したままボロフェスタ2日目の幕が降りた。
Text by ナカムラ
Photo by 中田 絢子



