生命力に満ちた激情と残響
ボロフェスタ最終日、BIG LEFT STAGEに登場したのは4人組バンド、ひとひら。
初めに演奏したのは「つくる」。心情をなぞるようなアルペジオが響きわたると同時に、聴衆はひとひらが創出する世界へと瞬時に引き込まれていく。2本のリード・ギターが織りなす美しくも儚い情景の隙間に、山北せな(Vo&Gt)の歌声がそっと溶け込む。その柔らかな声色がKBSホール中を澄み渡らせるように満たしていった。

間髪入れずに「国」「Seamless」「風船」へと続き、ファースト・アルバム『つくる』の収録順に途切れることなく展開していく。その演奏に呼応するように、フロアの熱気が一気に上昇。エモ、ポストロック、シューゲイザーと多様な音楽性が交差しながら、吉田悠人(Ba)と梅畑洋介(Dr)が支えるバンドの演奏には、次第にエネルギーが湧き上がるような肉体感が宿っていき、フロア全体を生命力で満たしていく。
後半は、今月リリース予定のセカンド・フル・アルバム『円』収録曲が続く。バンドの現在地を示すように、激情を帯びた演奏を轟かせ、観客の心を激しく揺さぶっていく。そのなかで、吉田がマイクに向かって感情を剥き出しにシャウトする姿が記憶に焼きついた。
次世代オルタナ・シーンの筆頭として名を広げ続けるひとひら。そのさらなる飛躍を確信させる、圧巻のステージだった。
Text by ナカムラ
Photo by 内田 美早紀



