tricot

ボロフェスタ2025
ボロフェスタ2025

縦横無尽の変拍子

京都の街に夕陽が沈みはじめた頃、BIG RIGHT STAGEに登場したのはtricotだ。

「おまえ」「おもてなし」「右脳左脳」と、新旧の楽曲を織り交ぜながら次々と演奏を繰り広げていく。変拍子を縦横無尽に駆け抜け、自由自在に曲を展開していくその姿に、思わず畏怖の念を抱かずにはいられない。

続く「OOOL」では、四つ打ちのビートとダンサブルなベース・ラインが絡み合い、聴衆は自然と身体を揺らしていく。そのまま「アナメイン」「體」「不出来」と続く怒涛のセット。MCでは「ボロフェスタ、帰ってきました」と笑顔を見せ、会場からは歓声が上がった。

ラストの「夜の魔物」では、暖かく揺らぐアルペジオとともに、芯の通った歌声がホール全体に響き渡っていく。やがてKBSホール名物のステンドグラスのカーテンがゆっくりと開き、美しい光の中でtricotの演奏がきらめきながら、緻密で壮大なステージは幕を閉じた。

Text by ナカムラ
Photo by 昴 (@shohnophoto)