街の底ステージを自身の世界へ惹き込む
札幌の地から駆けつけた乙女絵画。佐々木優人(Vo&Gt)は「札幌ではもう雪が降っています。京都はまだ秋が感じられていいですね」と語った。「永遠の瞳」ではステージがオレンジに照らされ、秋の夕暮れの情景が浮かぶ。「冬子」は人肌恋しくなる冬に聴きたくなる、心の奥底に響く一曲だった。彼らが紡ぐ音像は油絵のように複雑で、美しさと陰影が共存していた。
佐々木は多くを語らない。ただ言葉をそっと置くように届け、メンバーはその一言一言に丁寧な演奏で応える。35分間で何かを説明しようとするでもなく、ただ静かにその場に独自の空気を積み上げていく。彼らがどんなバンドかを完全に掴めたとは言えない。でもだからこそ、そのミステリアスな余白が、観客をより深く惹きつけるのかもしれない。
Text by 尾関翔哉
Photo by もりあみ



