堀池ゆめぁ

ボロフェスタ2025
ボロフェスタ2025

むじゃきから狂気までをうたにのせて

鉄パイプの断片と石、フラスコ、キーボード、アコースティック・ギターが無造作に置かれたどすこいSTAGE。彼女は座り込み、即興演奏を始めた。
石を叩く音、キーボードをなぞる指先、声にならない叫び。子どもの遊びのようなむじゃきさと、ほんの少しの狂気が表裏一体で同居していた。

そこからギターを手に取って歌い出したうたは、子どもの頃の合唱曲を思わせる伸びやかでまっすぐな強さを帯びていた。揺れるギターの響きがそのしなやかさをより際立たせる。

観客はそれぞれ、心の奥に沈んでいるいちばん古い記憶や、幼い頃の無垢な気持ちと静かに向き合う。ふと気づくと、これまで胸の奥にしまい込んでいたものが、ふと息を吹き返す瞬間がある。そんな新しい発見が生まれるステージだった。

Text by 瀬藤 育
Photo by kazuki.y