洒落を忘れず楽しむ彼らの現在地
荒谷翔大から続くメロウな時間帯。バトンを受け継ぐように登場したのは河西”YONCE”洋介(Vo&Gt)を擁するHedigan’s。メンバーが揃ったあと、突如画面に映し出されたのはボロフェスタ名物・オフィシャルグッズ紹介コーナー。某Netflixの地◯師たちや某通販番組風なテイストに会場は思わず笑い(苦笑? )に包まれる。しかし、一音目が鳴らされるとペースはHedigan’sのモノに。始動して間もないバンドだが、やはりYONCEの歌声は会場の空気感を一変させる力を持っていると感じさせる。
「Love (XL)」で機材トラブルが起こったが、マイクなしで叫び歌い、楽器陣もよりギアが入ったかのようにセッション。「ライヴは生き物」とはよくいったものだが、観客は身振り手振りと拍手喝采で、演者もダブル・ピースで応え、一体感が増していく。
そして、「音が出たぁ! トラブル大好き!」と茶目っ気たっぷりに話した後に演奏された「グレー」では一転、アップテンポに。エッジの効いたリズムがフロアにも深く刻まれていく。
吐息の音さえも自在に操り、頭や楽器を振ったりアンプに座ったり、悠々と動き回ったり。メンバー全員が終始全身で表現している。最後に演奏された「O’share」で「お前の道を歩けよ」と洒落を交えて表現する彼らのパフォーマンスも圧巻だった。
各々の場所でキャリアを積んだメンバーが集まり、自分たちのペースで、好きなことを好きなように表現する。彼らの音楽はジャンルに捉われることなく、今後も私たちに様々な広がりを魅せてくれることだろう。
Text by キムラアカネ
Photo by Riku kawahara