15時の京都を包む、豊かな歌声とメロディー
昨日とは打って変わって晴れ渡ったボロフェスタ2日目の午後3時。秋の陽射しが差し込むどすこいSTAGEに、いちやなぎの音楽がそっと溶け込んでいく。
1曲目「一つ屋根の下で」が始まると、柔らかな鳥笛の音色とともに会場の空気がふわりとあたたまる。まるで背後に森林が広がっているかのような穏やかさ。「いつまでも君とあなたと一緒がいいわ」(”一つ屋根の下で”の歌詞より)と歌う声に、観客の頬もほころんだ。
6曲目「フルーツパンチ」では、軽やかなポップさで観客の肩が自然と揺れる。この空気感は彼にしか出せないだろう。歌い終わったあとの「ありがとうございます」まで、音楽の鳴り響く空間として大切にしていることが伝わった。
この日はサポートメンバーも加わった特別編成。それぞれの音が豊かに混ざり合い、いちやなぎが奏でたのは午後の京都をやさしく包む音楽のひととき。あたたかく、でも確かな芯を持つ音楽が、観客の心に灯をともした。
Text by はっとり あや
Photo by 昴(@shohnophoto)



