即興演奏に芽吹いた幻のような時間
今日はどんな景色が見られるのだろう、そんな期待を胸に訪れたどすこいSTAGEに佇んでいたのは、vqだった。
ライヴが始まると、机に並べられた6台のiPhoneを静かに操りはじめる。内蔵されたサンプラーからはエレクトロニカのような繊細な音が出力され、少しずつ重なり合い、まるで心象風景を描き出すように空間を満たしていく。そしてその素材は時に即興で録音され、口笛や囁き声、さらには叫び声さえをも取り入れ、時に穏やかに、時に激しい音となりアウトプットされていく。その音の中には情緒が乱れるような激しい感情と、vqから溢れ出る優しさが芽吹いているようだった。

ボロフェスタという祝祭の中でふと立ち上がった幻のような時間。その中心では、vqが音とともに呼吸していた。
Text by ナカムラ
Photo by もりあみ



