aldo van eyck

ボロフェスタ2025
ボロフェスタ2025

地下に渦巻く混沌こそが調和だと言わんばかりの熱狂

「え、はじまってる?」
地下に降りると、サウンドチェックからして本編のような迫真の演奏を繰り広げていたaldo van eyckが、街の底STAGEに登場。
ほとんどお互いを見ることなく各々のプレイに没頭しているようでありながら、ものの見事に噛み合っている構築美に酔いしれる僕ら。
興が乗ってくるバンドに呼応するように、フロアもどんどん熱気を増していく。

即興性の高いセッションはとどまることなく加速していき、エレガントな泣きのメロディに不意に嬌声が飛び交ったり、破壊的な圧の音が交錯してうなるようにゆったり揺れたりと、混迷を極める街の底STAGE。

もうニヤリとゾクリの応酬で、合っているのかよくわからずとも、自分が1番気持ちいい動きが今ここで創出されていくような、スリリングな体験がたまらない。
曲ごとの間など無視するように長尺でシームレスに展開したあと、一瞬遅れて大歓声になる様子がすべてを物語っていた。

隣の人と顔を見合わせて「やべーなこれ」と語らずとも通じ合っていたフロアのテンションと裏腹に、朴訥なMCがまたいい味を出していたtomohiro onoue(Vo&Gt&Tp&Key)。
終演後、彼に一言だけ「超楽しかった!」と声をかけたが、この刹那の感情を伝えるのに、他に何の言葉もいらないだろう。

Text by 阿部仁知
Photo by Mitzki(from Von-fire)