Black petrol

ボロフェスタ2025
ボロフェスタ2025

フロアを熱で満たした35分間

最も暗いとされる夜明け前、午前4時。
ドラムの力強い一打が、合図のようにフロアへ響き渡る。
「みんなエネルギー残ってますか? 残ってるなら俺らの35分で使い切ってください!」
その一声とともに始まったBlack Petrolのステージは、最初の瞬間から観客の心拍数を一気に引き上げた。

安原大貴(Sax)の突き抜けるような音が炸裂し、空間を鮮やかに彩る。
SOMAOTA(MC)の「日々のストレスをここで晴らしてください」という呼びかけに応えるように、フロア中が身体を揺らす。
takaosoma(Gt)、Kuga Arumu(Dr)、石尾紘樹(Key)――それぞれの演奏技術が光りながらも、全体のグルーヴは見事に統一されており、観ていても聴いていても心地よい。

続く「Hollow」では、タイトで力強いリズムが、まるで心の空洞を埋めていくように鳴り響く。
サウンドはダイナミックに膨張し、彼らの内なるパワーが音像となってフロアを包み込んだ。

演奏を終えたとき、全員の身体から湯気が立ち上るようだった。
Black Petrolがステージを立ち去ってもなお、フロアにいた誰もがまだその熱を忘れられずにいた。

Text by はっとり あや
Photo by 瀬藤 育