igaが魅せた羽ばたきの予感
陽が沈みはじめた夕刻、どすこいSTAGEに登場したのはラッパー、iga。「福井から来ました」と掲げながらキラキラとしたサウンドに包まれ、等身大の言葉と心象を投影するフロウが静かにフロアへ染み渡っていく。2曲目「our」では「最低な僕らは旅に出ようぜ」と、ロック・バンドへのオマージュを感じさせるリリックを織り交ぜ、疾走感あるビートに自然と身体が揺れた。
MCを挟んだのち、マイクを手にフロアへ降りた彼は、観客のすぐそばで言葉を投げかける。そのラップとビートには心情の揺らぎとともに、どこか優しさが宿っていた。ラストは、夜のCLUB METROにも出演するiVyとの未発表コラボ曲。シューゲイズ・サウンドとigaの声が溶け合い、幻想的な余韻を残した。
福井からどこまでも大きなステージへ羽ばたいていく——そんな予感を抱かせるライヴだった。
Text by ナカムラ
Photo by 浅井 里緒


