京都に響きわたったKAIRUIの音風景
音楽に境界はない。ロック・バンドが立て続けにフロアを沸かせていくなか、どすこいSTAGEにはボーカロイドを用いるソングライター/トラックメイカー・KAIRUIが姿を現した。
エレクトロニカを基調とした美しいサウンド・スケープが特徴的なKAIRUIは、美しいピアノの旋律を皮切りに、きらめく音、水の音、光が弾けるような音像を重ねながら、アンビエンスな世界を20分にわたり描き出していく。

その音の海に満たされたころ、初音ミクが「貌の花」を静かに歌い出す。エレクトロニカの中から浮かび上がるその声は、KAIRUIのサウンド・デザインと溶けあいながら観客の胸にやさしく寄り添い、深く心を揺らした。
続く「青空」「魔法」では、美しい音像とダンサブルなビートが交錯し、フロアにさらなる躍動を生む。最後に披露された「幽霊」では、ボーカロイドの歌声と電子音が京都の街まで広がっていくように溶けていき、幻想的な余韻を残してステージを締めくくった。
Text by ナカムラ
Photo by kazuki.y



