高倉健

ボロフェスタ2025
ボロフェスタ2025

街の底STAGE大トリ……高倉健!? ―アタマクラクラケンタカクラからはじまる不器用なボディコミュニケーション―

無造作に楽器が置かれた街の底STAGE。大トリを飾ったのは高倉健。ショートコアのように20分ほどで10数曲を駆け抜けた。全員が眉間にシワを寄せながら演奏し、苦しんでいるのか怒っているのか見分けがつかない。ただ行き場のないエネルギーが、止まることなく噴き上がり続けていた。

渦が巻き、止み、また渦を巻く。ぶつかり合うフロアの観客もお構いなく松本(Vo)はフロアへ突撃し、そのまま街の底を飛び出していく。観客を避けるでもなく、ぶつかり、まっすぐ突き進む。終盤、藤田(Gt)がドラムへ突撃し、瞬間的に演奏は終わった。

明るい電灯に照らされ続けたステージは、騒然とした一瞬の出来事が確かに存在したことを静かに証明していた。あの“衝動”そのものが、街の底STAGEの大トリとして刻まれた夜だった。

Text by 瀬藤 育
Photo by 定藤 孝徳