小さな声、小さな音に気付いて
昨日は大雨のため野外ステージは中止となったが、打って変わって本日は晴天で穏やかな午後。行きかう車の音、ドリンクの列に並ぶお客さんの話し声、ホールから漏れ聞こえるギターの歪み。
能登のチャリティー手ぬぐいを首に巻いて、エレアコでない、生音のアコースティック・ギターと共に裸足でゆーきゃんは野外ステージに立った。
「このあとトークセッションがあります。日本中に起きていること、起きているかもしれないことについて話します。普段京都の街中に住んでいると聞き漏らしてしまう小さな音、小さな声に注目して頂けたらと思います」と話し、ライヴが始まった。
ゆーきゃんのギターはアンプで増幅するタイプのアコースティック・ギターでなく、本人も弦を掻き鳴らすというよりはつま弾くスタイルである。野外の環境音の喧騒のなか、情報を選択して彼の楽曲を聴こうとする今のこの状況が、まさに先ほど彼が話したことと重なる。
透明な歌声とギターの音が観客に静かに届けられ、各々のタイミングで、頷いて楽しんでいた。
Text by 松下愛
Photo by 瀬藤育