柴田聡子

ボロフェスタ2024
ボロフェスタ2024

ホールで響き輝く唯一無二の表現

ゆっくりとキーボードの前に腰掛けた柴田聡子。「Your Favorite Things」からライヴは始まり、発する音の最後のひと伸びまで聴いていたいと思わせるような彼女の奥行きのある唯一無二の歌声がホールに響き渡る。彼女が纏う空気感と伸びやかな声に圧倒されたオーディエンスは、決して一瞬も見逃すまいと固唾を呑んでステージを見つめている様子だ。 「Movie Light」まで鍵盤を操り、その後立ち上がりギターを持つと「Synergy」を披露。抑揚と高低差を使って音を操り、フロアからは歓声が上がる。

終始、曲を演奏する前に必ず曲名を伝え、観る者と一緒に物語を紡いでいく柴田。MCでのハツラツなテンションや彼女の人間味溢れるキャラクターと歌声とのギャップ。これがまた、たまらない。今日は「雑感」「後悔」「素直」と終盤たたみかけ、ライヴを締めた。
フロアは各々、彼女が綴る詩的な歌詞を噛み締めるかのように見入ったり、左右に揺れて独自の世界観に入り込んだり。音源だけでは伝わりきらない表現の魅力があった。だからこそ、1度ライヴを観た者の心を掴み離さないのだろう。最近は音楽以外にも活躍の場を広げているが、アーティストとしての彼女の活動から今後も目が離せない。




Text by キムラアカネ

Photo by 昴(shohnophoto)