カッコつけないのが、カッコいい
昨年は街の底STAGEにバンドで出演し、入場規制となった鈴木実貴子。今年はソロの弾き語りでの出演となった。
どすこいSTAGEにはすでに多くの観客がおり、演奏が始まるのを待っている。「正々堂々、死亡」の歌いだしのひと声で、空気ががらりと変わる。鈴木実貴子(Vo&Gt)が喉の奥まで開いて力の限り歌えば、アコースティック・ギターも呼応して太く鳴いた。
「名古屋から来ました! 鈴木実貴子です!後ろまで届けたい!!」と、観客を前から順番に座らせると、鈴木の全身が見えた。カッコつけない彼女の佇まいが、カッコいい。
「大きいステージいいなと思う、地下のステージいいなと思う。どすこいSTAGEですよロビーですよ、通りすがりに観てもらえる可能性がある。どすこい実貴子です!」と、観客に語りかける。
先月メジャー・デビューした際の配信シングル、「違和感と窮屈」を披露。「メジャーなのにスパナでいったろか、と歌ってる」と話した通り、明るい曲ではないが、彼女らしいストレートな感情を偽りなく込める魂のナンバー。
ステージが終わったあとも、たくさんの観客の拍手が鳴りやまない。
Text by 松下愛
Photo by Riku kawahara