DENIMSが魅せた新境地
ボロフェスタ2024最終日。ORANGE SIDE STAGEのオープニングを飾るは、関西が誇る”多幸感先輩”DENIMSだ。
「今日も最幸な1日が始まるぞ…」という予感を肌で感じていると、岡本悠亮(Gt)のカッティングと土井徳人(Ba)・江山真司(Dr)が支えるリズムがダイレクトに胸に響く。初っ端から爆音で会場をぶち上げていく彼ら。そして、即座にゆるやかな曲に繋げる緩急はさすがであるし、どんな曲でも釜中健伍(Vo&Gt)の伸びやかで力強い声は今日も優しい。心地よいメロディの中で背中を押してくれる楽曲「Runnin’」では、会場が温かい空気に包まれ、皆思い思いに体を揺らす。
終盤では、今年リリースしたアルバム『RICORITA』から「Journey To Begins」「Song For You & Me」と収録順に繋ぐ。メンバー全員の声の重なりが吹き込まれ、バンドとしてのまとまりも魅せ方も確実にパワー・アップしている。最後は、前身バンドが2011年にリリースした楽曲をセルフカバーした「たりらりら」で会場を飛び跳ねさせ、骨太なベースラインとゴリゴリなロック調で締めくくった。新境地を開拓し、ますます渋く仕上がっているDENIMS。
ふと立ち止まって彼らの音楽を聴くといつも、自分の人生を肯定してあげたい気持ちになる。思い通りにはいかない毎日でも、優しく時に強く、日常に寄り添って背中を押してくれるDENIMSの音楽は、今日ここにいる人たちにも確かに届いたはずだ。
Text by キムラアカネ
Photo by 内田美早紀