MOROHA

ボロフェスタ2024
ボロフェスタ2024

観る者の感情揺さぶる50分間

「ボロフェスタは人間的なフェスで23年間やってきているが、そんなフェスの今日のトリはこの人たちしかいないでしょう! 」パーティーナビゲーター:MC土龍の紹介にもあったように、ボロフェスタ2024の2日目を締めるは、人の心を揺さぶるMOROHAだ。

UK(Gt)が緩急をつけて感情に訴えかけるメロディと、アフロ(MC)が力強く刻むリリックの掛けあい。一瞬たりとも目が離せない。マイク1本とアコースティック・ギターだけ。我々がMOROHAにどうしようもなく惹かれ、引き込まれてしまうのはなぜか? 彼らが真っ向から直球で伝えてくる言葉に、音楽に、今日も心が震える。

友達のbachoがアルバムを出すらしい、とMCで触れ、「よくもまあ9年もサボったもんだ。売れますように、そして決してMOROHAよりも売れませんようにとの願いを込めて」と語り、「奮い立つCDショップにて」に繋げる。長く前線で戦ってきた彼らだが、現在の立ち位置に至るまでは決して平坦な道のりではなかったであろう。「やめるなら今だ」というような葛藤の数々、そして辿り着いた彼らの覚悟と信頼関係が幾度も垣間見えたライヴだった。

研ぎ澄まされた言葉。そしてその力強い言葉は、対峙する相手に届く力がある。MOROHAに向き合った1時間弱はあっという間で、心の片隅にすっと入り込んでくるリリックに、途中何度も泣きそうになってしまった。「六文銭」では「あなたがいた だから名曲」と魂を込めて歌い、「心が折られた後に自分の力を出し切る人が本当にかっこいい人だ」と語り、「こんなはずじゃなかった」という人間の感情に向き合う彼らは、本当に誠実で優しい人たちなのだと思う。

途中、この時間にボロフェスタ名物であるKBSホールのステンドグラス開帳がないことについて話していた。しかし今この時間にステンドグラスは必要ないだろう。なぜなら、このホールは全て出し切った彼らの存在感で溢れているから。フロアからは、2日目のトリを称賛する拍手喝采。素晴らしい瞬間がたくさん生まれているボロフェスタ2024も、残すところあと1日だ。




Text by キムラアカネ

Photo by Riku kawahara