4s4ki

ボロフェスタ2024
ボロフェスタ2024

弱い僕から送る手紙

ギターと身ひとつで展開された柴田聡子のシンプルなライヴとは対照的に、15時過ぎのGREEN SIDE STAGEに登壇した4s4kiは、ごった返すカラフルな音色でボロフェスタ最終日の後半戦へバトンを繋いだ。生きていくための約束を交わし続ける関係でいようと歌う「rEiNsTaLL」で発車すると、私たちが幸福に生きられる世界の創造をシャウトする「LOG OUT」へ接続。

ファンと目線を合わせるために屈みながらアクトを続ける4s4kiの振る舞いからは、彼女が顔を突き合わせるダイレクトなやり取りを熱望していることが伝わってくる。そのスタイルは、4s4kiの世界観を構成するゲームやインターネット的なエッセンスとは乖離しているかもしれない。しかし、デジタルを住処としてきたからこそ反作用的に働く、肉体的な交流への希求は揺るぎないものであるのだ。

1つ1つ音符を確かめるようにゆっくりとキーボードで弾き語った「escape from」のラストシーンで紡がれる、「覚めない夢から おかえり ただいま」の2行。声色を変えて放たれたこの挨拶は、4s4kiとファンが交わしてきた「今日を生き抜こう」という約束の続きに違いなかった。今日は4s4kiにとって初めての京都だったけれど、次は「おかえり」と言えたらいいな。そんなことを思わずにはいられない、手紙のごとき35分だった。

Text by 横堀つばさ

Photo by リン(YLC Photography)