充満する色香
遂に始まったボロフェスタ2024最終日。ボロフェスタ初出演となるa子が、GREEN SIDE STAGEの幕開けを告げた。ライヴはa子のハスキーな歌声が切り込む「LAZY」でスタート。UKロックの血統に位置づく霞がかったサウンドスケープとダンサブルなビートが、空気を多く含んだヴォーカルと手を組んで、アンニュイな気配を充満させていく。「LAZY」において「今夜も離さんで くたばりそう」と強い言葉を口にする一面と、続く「miss u」で提示された大人の余裕は密接に結びついており、危うさを孕みつつも凛と立つキャラクターが浮かび上がる。
赤いライトに包まれて「赤いルージュをつけてよ」とジャジーに歌い出した「good morning」は、そんな主人公が纏った夜の匂いを漂わせるナンバー。「good morning」を冠しているにもかかわらず、ビターな手触りを表現できるのは、a子自身が濃く色気を放っているからであろう。
焦がれるような愛憎と後悔ばかりの自分へのわずかな肯定を抱え、恋愛だけに留まらないラヴソングを終始届けたa子。彼女が刻んだひりつく残響が、いつまでもフロアに浮遊していた。
Text by 横堀つばさ
Photo by 昴(shohnophoto)