kurayamisaka

ボロフェスタ2024
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ボロフェスタ2024

戻れないあの夏へ

<FUJIROCK FESTIVAL 2024>への出演や<渋谷CLUB QUATTRO>における初ワンマンのソールドアウトなど、破竹の勢いを提示する5人組、kurayamisakaが、初めての京都遠征にしてGREEN SIDE STAGEにやってきた。一発目が炸裂した瞬間にフロアからは無数の拳が掲げられ、期待値の高さが伺える。その期待をフルスイングで打ち返すべく、メンバーたちは折にギターを天に掲げ、折に叫びながら、全身全霊で煽り返していく。舞台上で火を大きくしていくというよりも、感情の爆発を身体的な所作に乗せてどストレートに伝達させるkurayamisakaのステージングは、澄んだ水を喚起させる内藤さち(Vo&Gt)の歌声とは一見アンバランスに思える。しかし、押し寄せる音の洪水の中で不意に訪れる静寂によって、内藤の凛としたヴォーカルが浮かびあがる瞬間は息を呑むほどに美しく、その数秒をより効果的にしているのがアグレッシヴな5人の立ち振る舞いであると感じた。


彼らのノスタルジックな側面を改めて知らしめたのが、ショーの折り返し地点を彩った「modify Youth」から「farewell」、そして新曲へと繋がるブロック。水色からオレンジ、明度の低い青へと変化していくライティングは、過去を回帰する楽曲世界と絡み合いながら、うだるような夏の真っ昼間から夕陽に吸い込まれそうな夕方、そして湿度で眠れない夏夜へと時刻や季節が移り変わっていく様子を連想させた。惜別の哀しみを乗せて、kurayamisakaは走っている。


Text by 横堀つばさ

Photo by 加藤はな