魂の叫び! 荒れ狂う
黒スーツに身を包む男が三人、魂を迸らせながらギターとドラムを掻き鳴らす。「ロックの準備はいいですか!?」そう観客を煽り散らかすのは、ORANGE SIDE STAGEの一番手、兵庫県西宮市のロック・バンドKING BROTHERSである。
鬱蒼とした気持ちを焼き尽くすような、轟々としたパフォーマンスを始終貫いたこの日のライヴは、アーカイヴ配信をしない。だからこそ、この一瞬が、熱が、火山弾のように胸に転がり続けるのだろう。
ケイゾウ(Vo,Gt)が、昨日誕生日を迎えたというマーヤ(Gt)に「歌ってください!」とキラーパスをすると、荒れ狂う歌声に、自然と手拍子が湧き起こる。「飛び込まないけど、声を出してる気持ちで、叫んでもらえますか!?」と、昨今の社会への理解を示しつつも、溜まりまくった鬱憤の汚れをぶちまけるように「アーユーレディ~!?」と繰り返し煽る。すると、多くの観客が拳を突き上げる。その光景は、まるでいまの世の中に、KING BROTHERSの力強く拒絶する力が必要とされているのだろうかと思わせるような姿であった。
2020年にリリースされたスプリット7インチ『CRAYON SPLIT COLLECTION VOL.1』収録曲“-UFO-”、“ブッ壊せ!”で、今でもなお自由を求め続けようとする強固な姿勢を示す。ケイゾウが鳴り響かせるハーモニカは、過ぎ去っていく日々を馳せるような気概が感じられ、胸に沁みた。ラスト曲“GET AWAY”では、存分にKING BROTHERS節をかます。先頭のアクトではあるが、この場所を守り続けようとする殿のようにも映った。
Photo by コマツトシオ
Text by 増井