ULTRA CUB

ボロフェスタ2021
ボロフェスタ2021

あの思春期の延長線上で鳴らすパンクス

2002年に京大西部講堂で始まったボロフェスタは今年で20周年を迎える。20年目の、そして2年ぶりのボロフェスタは、周年を祝うべく2週間、計6日間にわたって開催中である。ステージ上では、MC土龍(party navigator)による「瓦割り」のオープニングセレモニーが行われ、2周目のボロフェスタがスタートした。

いちばん最初に爆音を轟かせたのは、地元京都のバンドULTRA CUBだ。ボロフェスタには2018年から2回出演しており、また、ホストバンドとしてスタッフでも参加してくれている。ライヴは、“ULTRA LOVE 花園”から。初手から4人の歩調が揃い、グルーヴ感を増していく。ドラムのビートとかギターの音だけで「今すぐどこかへ駆け出したい」と思わせるくらいに。

新曲“GRAND THEFT YOUTH”から、まっすぐだけど歪なラブソング“あの娘がセックスしてるなんて俺は絶対信じない”へ。彼らの必死な歌は、カーミタカアキという無防備なほど人間臭い男の中から、どうしようもなく出てきちゃったもののように感じる。MCでは、「俺たちフロムボロフェスタなんで」と語り、新たなキラー・チューン“愛を呼ぶ愛してる愛を叫んでるケモノ”へ。

自意識にまみれ、自己完結してばかりのある青年が浮かびあがるも、「一生YOUTH、正義のロック。」を掲げるバンドが醸す「青さ」と、パンクのスピード感でもって、「思いっきり人を愛したい」という情動を美しく描く。伝えたいことを伝えるために、自らを解放してけたたましくシャウトするカーミタカアキからは、まっすぐな希望と同時に、「お前らにわかってたまるか」といった怒りにも近い衝動すら感じとることができた。4人の声が重なるオーラスは、まさに「青春」が突き抜けていて痛快だった。

勢いと熱量でもって、35分間のステージを全力疾走で駆け抜けた。
本気になった時が、「青春」なんだ。彼らのライヴを見て、そう思った。

Photo by shohnophoto

Text by 石上 温大