KBSホールを飲み込んだ6人の鬼神
ボロフェスタの開催前、勝井祐二(Vln)はTwitterでこう綴ってくれた。
ROVO結成25周年ツアー
名古屋今池TOKUZOと恵比寿リキッドルームは、25周年記念ワンマンライブ。
ボロフェスタはそれとは違う、2021年のROVOをお見せします。— 勝井祐二 (@katsuiyuji) October 27, 2021
とはいえ、正直自分はROVOをイヤフォンでしか聴いてなかったので、名古屋でのワンマンはもちろん、他のライヴでの演奏との違いは分からない。
ボロフェスタでどのような演奏の違いを見せてくれるのだろう。
静かに登場した『6人の鬼神』が自分たちの楽器のもとに着いたのを見ながら思い馳せていた。
音が鳴ったと思ったら、はじめ鬼神たちが何をしているのかが分からなかった。山本精一(Gt)はスプレーをギター弦に吹きかけたり、益子樹(Syn)の唐突なディレイが出たりと、(これは曲がはじまったのか!?)とわからなかったが、各人の演奏は徐々にテンポが早くなり、そのときはいきなり来た。
勝井のエレクトリック・ヴァイオリンに、芳垣安洋 (Dr/Per)、岡部洋一(Dr/Per)2人の、鏡を見ているかのようなシンクロするドラム。急に変わるリズムに左右されず、自分のベースを弾き続ける原田仁(B)が、椅子に立って演奏をしたときは観客も自分も拳を上げた。
その音たちをかき鳴らす鬼神たちは、周りを気にせず演奏しているように見えるが、聴く我々に調律を感じさせる。
曲として激しくも、きれいな音楽が会場に響いた。様々な要素から絡み合い美しく存在する宇宙のように、彼らが創り出す音楽が『宇宙っぽい』と表現される理由が少し分かったのかもしれない。そう感じているときにはすでに、我々は鬼神が創り出した宇宙のなかに取り込まれていたのであった。
結果として他のライヴとの違いは分からない。しかし、鬼神たちがボロフェスタ20周年を全力で祝ってくれたことは間違いない。