Daichi Yamamoto

ボロフェスタ2021
ボロフェスタ2021

Key Person “Daichi Yamamoto”

Have a Nice Day! からバトンを引き継ぎ、GREEN SIDE STAGEに登場したのは、ボロフェスタには初めての出演となる地元京都出身のラッパー/美術家、Daichi Yamamotoだ。2019年のソロ・デビュー以降、積極的なリリースと客演参加、TVCMからファッション・ブランドとのタイアップ、グローバル企業の大型キャンペーンなど、今幅広く活躍している。今年のボロフェスタが時代性のあるイベントになったのは、彼が出演してくれたおかげでもあるのではないだろうか。

この日のライヴは、Phennel Koliander(DJ)、Kzyboost(Talk Box)との編成での演奏となった。「どれだけ繕っても/風呂入る時には裸」のリリックが痛快な “Greetings”から。続く “Love+”では、メロディーを感じるフロウと、想像力を刺激するリリックに惹きつけられた。歌詞の意味が、一度潜っていくような感覚になる。息を潜めて、自分の中に入り込んでいく感じがした。

ライヴは、ダンサブルな“Let It Be Feat. Kid Fresino”から、“blueberry”へ。多彩なボキャブラリーからなる流麗な英語と日本語、歌うようなフロウとカチカチに踏むライムなど、独特なバランス感覚に洗練された彼のセンスが生きている。あらゆるものをミックスして新しい音楽を創造する彼のオリジナリティ溢れる表現力は、ヘッズの心を鷲掴みにする。

MCでは、自身の出身校がKBSホール周辺にあることなど、地元トークを展開し、「ボロフェスタは昔から知ってて、いつか自分のセットで出れたらいいなって思ってたので嬉しいです」と語った。

続く “Paradise feat. mabanua”では、フックの「踊っていたい/今年くらいは」に合わせてフロアから手が上がり、最後は、ストレートなラブ・ソング“testin’”。
Daichi Yamamotoの抜群なリズム感により、ラップも歌もグルーヴィーに、見事にハメていく。緩急自在にラップを披露し、フロアを巻き込むようなグルーヴを起こした。ヒップホップ、ジャズ、レゲエ、ハウス・ミュージック、さらにジャジー・ヒップ・ホップ、グライムなどの影響を受けたというグローバルな音楽性を含む、Daichi Yamamotoの持つ独特の雰囲気が、稀代のラッパーとしての彼の存在感を引き立てているように感じた。

Photo by 関 ゆかり

Text by 石上 温大