本日休演

ボロフェスタ2021
ボロフェスタ2021

本能のままに躍動する、享楽のライヴ

ダブやポスト・ロック、レゲエ、ヒップホップなどの音楽性を下地とした、世俗的ともいえる土臭さと、毅然としたライヴで名を馳せる、本日休演。かつて、京都を拠点に着実と活動を重ねてきた彼らだが、昨年に岩出拓十郎(Vo,Gt)が東京へ越すなど、環境的な変化も大いにあった。そんな中、東京で録音したという、今年リリースの『MOOD』を引っ提げ、ボロフェスタGREEN SIDE STAGEに帰ってきた。

「はい、じゃあ始めます」と、素っ気ないMCとともに、くぐもった分厚い音像が鳴り“全然、静かなまま”が始まった。間奏のポストパンク然とした強烈なセッション、肉体的な躍動感をもった乾いたドラムに、濛々と重いベース。その上で縦横無尽に駆けずり回る、金属的かつ土臭いギターが圧巻の演奏であった。終始、突発的に始まる工事現場かのような強烈なセッションに、多くの観客は唸っていたことだろう。『MOOD』に収録された“アレルギー”、“ロンリネス”と狂気的なパフォーマンスが続くのだが、タイトなグルーヴの緊張感と、かた結びをほどくようなフレーズが、本能的な快楽をもたらしていた。

“サニーガール”は、タイトル通り、青空を彷彿させる情趣あるメロディが開かれつつも、田んぼの土に引きずられるようなグルーヴが心地よい楽曲であった。何より揺らぎつつも芯のある歌声が太く響き、妙な心地よさを漂わせていたと思う。

Photo by リン

Text by 増井