ぶっ恋呂百花

ボロフェスタ2024
ボロフェスタ2024

毒針と愛のアンセム

夕暮れどき、どすこいSTAGEに列を成した人々が見つめる先には1人の女性の姿があった。ぶっ恋呂百花の登場だ。愛らしく艶やかな歌声とは裏腹に激しく、底から突き上げるようなDTMトラックが光る。
「初めてボロフェスタに来ました!呼んでいただけてほんと嬉しいです」と彼女は言い「I’m crazy」を披露。クラブと化したフロアに響く重低音、無限に広がるような音の粒、観客や通行人の足を止めて吸い込んでゆくある種の魔力のような存在感がある。
「殺Kiss」、「カス」はぶっ恋呂百花の魂の叫びともいえる内なる感情が詰まった歌詞、心の底から漏れるような歌だ。それらに共鳴し、人々は踊り、名を呼び、涙していた。彼女の鋭く優しい眼差し、音楽に打ちこむ姿に多くの人の心が奪われたことだろう。その独自のメロディセンスと心の鏡のような詩を歌う勇敢な姿を、これからも追い続けたい。

Text by 山崎更紗

Photo by 定藤孝徳