愛はズボーン

ナノボロフェスタ2020
ナノボロフェスタ2020

Text by 石上温大
Photo by やまだのどか

愛はズボーンの真髄を高純度で浴びた
キョ~レツに刺激的なステージ

the McFaddin からバトンを引き継ぎ、ナノボロフェスタ2020初日のLive Foreverステージのトリを務めるのは、アメ村から来たボロフェスタ常連バンド「愛はズボーン」だ。

MC土龍(主催)に呼び込まれ、広大なKBSホールを一音で彼らのディープな世界へと誘い、1曲目「アナコンダ」で強烈な刺激を与えて、スタートを切る。

次の「ゆーらめりか」では、金城昌秀(Gt,Vo)と儀間健太(Vo,Gt)のツイン・ボーカル&ギターの掛け合いはリズムと間が絶妙で、会場中が揺れていた。エンタメ性がピックアップされがちな彼らだが、根底にある確かなバンド力をオーディエンス全員がはっきりと分かったはずだ。

「こんな世の中ですが、関西盛り上がって行きましょう!」とアジり、今年6月リリースの新曲「READY GO」へ。冒頭は間違いなく金城にしか成しえないドープなラップパートで、刺激を求めるオーディエンスをかき立てていた。「スリー! ツー! ワン! /READY GO」の後、今日一番の盛大なハンドクラップが起こり、Never Die ステージのクライマックスにバチッと合う沸き上がりを見せた。

「忘れていくことは悪いことじゃない。今日1日本当に素晴らしかったけど、忘れていきましょう。そうやって次に繋がっていくよ」と金城が説き、「adult swim」へ。オーディエンスをよりディープな世界へ没入させるバンドの重厚なグルーヴがサイケでドープだった。

「この関係がずっと続けばいいな。京都に来られて本当に嬉しい」と「アースダイビング」。「喜び伝えたくなる」という歌詞に込められた“ライヴで歌える喜び”が、今年からスタッフとして参加している筆者には層一層届き、愛はズボーンが出てくれた喜びを痛感した。全身全霊で一生懸命に喜びを伝える儀間の、一挙手一投足全てが本当に格好良かった。

「ここはいつだって地獄なんだ。オレたちはKBSの天井のもっともっと上から誰かに見られてるんだよ。だったら踊るしかねーよな。」と金城が煽り、ラストは「MAJIMEチャンネル」! キャッチーで即効性のあるフレーズと、一発で耳に残るメロディラインが、気付けば頭の中でリフレインしてしまう。ノリノリな曲調と刺激的なテンポが心地良すぎて、この瞬間に、この場所で、この音にノっていることに意味を見出す作業が野暮に思えてくる。「意味なんてないぜ~」にオーディエンスが現在可能な形で思い思いに心酔している様子は感動的で、コロナの今でもこんなにも素晴らしい光景が見られたことに幸せを覚えた。

ド派手なライブパフォーマンスで、この日のNever Dieステージを彼ららしく豪快に締めくくった。

愛はズボーンは10月7日に新曲「ひっくりかえす」を配信リリースする。彼らの新たなフェーズにも要注目だ。