アフターアワーズ

ナノボロフェスタ2020
ナノボロフェスタ2020

Text by 石上温大
photo by 廣瀬有美

貪欲に泥臭く、一番手らしい激しいステージ

大阪出身のいなたいロックン・ロール・バンド「アフターアワーズ」が前例のない緊張感と熱気に溢れたKBSホールに、いきなり全弾発射の如くパワフルに陽気な「デイジー」で容赦なく爆音を轟かせ、スタート! 18年続くボロフェスタの聖火を絶やすことなく、19年目の夏のボロフェスタ「ナノボロフェスタ2020」が走り始めた。

筆者にとっても約8ヶ月ぶりのライヴで、生のバカでかい音は感慨深くもあり、それでもやはり血圧の上がるような、嬉しくて膝を叩きたくなるような高揚感があった。

続けて「はりさけそう」、「ビューティフル」を演奏し、不器用だが愛嬌のある男臭いリリックとメロディが野心的な訴求力を持って届く。確かな推進力を持った歌のパワーを、オーディエンス一人ひとりが真っ直ぐ受け止めていた。

MCで終始誰よりも楽しそうにプレイしていたドナ・タミハル(Gt)が「これがリアル(のライヴ)や!」と対峙するオーディエンスに、得意げに言い放っていたのが印象的だった。

「KBSホールでやりたかった曲やります!」と高らかに宣言し、4曲目はメロディックでパノラミックな「シャッフル」だ。サビで3人のコーラスがユニゾンし、広いKBSホール中に響き渡ったとき、曲の風景と音と歌詞がマッチしたように感じられ、非常に美しかった。

続く5曲目「キラーチューン」では、歌詞に賛同するように拳がフロアから一斉に力強く突き上がり、会場のボルテージは最高潮に達した。

“絶望の夜が明け 希望だって見えるさ” と歌う6曲目「ジョージのテーマ」は、こんな時代だからこそ心に響く歌詞があった。どこまでも真っ直ぐ歌う、転んでもないのに泥だらけのような彼らの姿勢に、筆者も“希望” に向かって進む力が湧いてきた。

ラストはみんなで手を振り笑顔で、アフターアワーズらしくエネルギッシュに「バイバイ」でフィニッシュ。

絶望の夜が明けた時、さらに大きくなった彼らにまた会いたい。