ズカイ

ナノボロフェスタ2020
ナノボロフェスタ2020

Text by 石上温大
Photo by やまだのどか

ホールに響き渡らせた、
夢と愛の溢れる音たち

オレンジスパイ二クラブからバトンを引き継ぎ、Live Forever ステージに登場したのは、「この世にね、本当の大人なんていないんだよ」と歌う、大阪のインディー・ロック・バンド「ズカイ」だ。

昨年の9月より新メンバーを2人迎え、新しい雲に乗って走り始めたバンドは、今日はキーボードにサポート・メンバーを加え、リッチな6人編成でプレイ。

マンクモ(Vo,Gt)がどこか遠くを見つめながら、弾き語りでスタートした1曲目「せかい」で、ズカイのステージの口火が切られた。彼らが奏でる一音一音には、煌びやかでドリーミーかつ緩やかだ。
日常のインディ・ロックなズカイの世界観が表されていて、どっぷり嵌まっていくような没入感があった。

次は、今月7日にリモート制作で完成させた新曲「目鼻口とエアリーショート」!
儚く暗めの失恋ソングをダンサブルなリズムで演奏し、広いKBSホール中をエモく、幻想的なムードで包み込んだ。

続けて「夜行バス」、「暇じゃない」、「涼しい顔」と演奏した。日々の煮え切らない思いを等身大に綴ったマンクモの歌詞は、少しどんよりとしているが、幻想的で透明感のあるギター・サウンドと、親しみやすく中毒性を持ったメロディがとても心地よい。ズカイのどこまでも深い曲の世界に引き込まれていった。

ラストにはまだ未発表の新曲「とおせんぼう」を披露し、初出場のナノボロフェスタを駆け抜けた。

新曲に最も説得力と迫力があったし、MC土龍(主催)も「突き抜けてた」と絶賛のツイートをしていた。