ネムレス

ナノボロフェスタ2020
ナノボロフェスタ2020

Text by マツノミズホ
Photo by 廣瀬有美

「工事現場からきました!」BPM1000の曲を披露したのは、ネムレス!

 

ナノボロフェスタ2020、1日目の中で一際、異彩を放ったのは、Never Dieステージに登場したネムレス。
ネムレスとは、うてなゆきによるセルフ・プロデュースのアイドル・プロジェクト。バンドばかりのライン・ナップの中、堂々としたステージング、彼女の存在は強く印象に残った。

まず、登場からインパクト大! ナノボロフェスタから使われることとなる新入場SEとともに、全身蛍光黄色、背中には安全第一と書かれた衣装で登場。「ネムレスです。よろしくお願いしまーす!」と元気よくあいさつし、ステージが始まった。ピコピコと電子音を駆使した近未来的な楽曲に、独特のかわいいダンスの振り付け、彼女の個性が表れていた。

MCでは、「ライヴめっちゃ気持ち〜〜しんどいけど~」と何度も口にしていたのが、印象に残っている。
半年ぶりのライヴであったにもかかわらず、まったくそれを感じさせない軽やかな動き、ライヴを心底楽しんでいる様子が伝わってきた。
続いて、「ネムレスさんは工事現場から来ました。BPM1000を超えると、工事現場になるんです」と、彼女は話す。だからその衣装なのかー! とやっと謎が解けた。
「次の曲はBPMが1000あります。聴いてください、コンクリートオーバーニーソックス!」と声をかけると、先ほどのテンポより10倍早い曲が流れだす。

バリバリという激しい音。たしかに、彼女がいう通り工事現場のようであった。しかし、かわいい声とダンスが、不思議とマッチしており、不快感は感じられない。
こんなことを考え出すアイドルが今までいただろうか、アイドルのライヴを観たことがなかった筆者は、衝撃を受けずにはいられなかった。

続いて「SHURIKEN NAGE-NAGE」は、同人ゲームでおなじみの東方シリーズのアレンジ曲で、その名の通り手裏剣を投げる曲。観客にフリをレクチャーし、曲を知らない人も一緒に楽しめる空間をつくりあげていた。

29日の出演者のほとんどがバンド形態で、アウェーともいえる環境の中、とにかく彼女の明るさが輝いていた。アイドルは人を楽しませることが役目、とよく言われるが、私は彼女のステージを観て、初めてその言葉の真意を理解することができた。