マンチェスタースクール≡

ナノボロフェスタ2020
ナノボロフェスタ2020

Text by 村尾ひかり
Photo by まい

まだ夏は終わらない! ナノボロ2日間を愛で包み込んだマンチェスタースクール≡

初のKBSホールでの開催となったナノボロフェスタ2020も、残すところあと1組となった。
大トリを務めるのはパジャマ姿の4人組バンド、マンチェスタースクール≡!

1曲目はこの夏リリースされたばかりの新曲「37.5℃」。まさにこの夏の不自由さやもどかしさを表現した疾走感のあるナンバーからスタートし、そのまま勢いを落とすことなくハイスピードなパンクチューン「アルツ&ハイマー」へと続く。
ハルロヲ(Vo,Gt)が時折ハンドマイクを頭上に高く投げては見事にキャッチしながら、観客一人ひとりに訴えかけるような笑顔で歌を届ける。

コーラスの重なりが美しい「Lovers,Rubbers」、仲本工事(Gt,Cho)の力強いギターリフから始まる「ニュータウン」などを披露し、会場の空気をどんどん高めていく。
フロアには笑顔で拳を挙げる、ボロフェスタ主催チームのミノウラヒロキや土龍の姿も。
「僕らのサマーチューンをやります」と言ってハルロヲがギターを持ち、始まったのは「ココナッツフレーバー」。夏らしい爽快感のあるメロディは、自由に過ごすこともままならなかった今年の夏の鬱々とした気持ちを、すべて晴らしてくれるかのようだった。

心地よいシャッフルビートがスウィングする「観光客のままで」、青春をそのまま体現したかのような「In The Room」など、パワフルかつノリのいい楽曲で観る人を自然と笑顔にさせていく。
2日間のナノボロフェスタで、KBSホールという広い会場ならではの良さを感じさせる場面ももちろんあった。しかし投光器だけのシンプルな照明と高さ1メートルに満たないステージという環境の中で、熱い彼らのステージングを観ていると、ライヴハウスの狭いフロアの中でもみくちゃになってライヴを観た日々のことを思い出さずにはいられなかった。

アンコールでハルロヲは機材の撤収が終わったForever Liveステージまで走り込み、マイクすら投げ捨ててステージ上を転げ回った。最後にすべての感情とエネルギーを爆発させようとする彼の行動は、ナノボロフェスタへの最大の愛情表現だろう。
暑い夏の、熱いナノボロフェスタの2日間を体現した感動的なラストだった。