紡ぎあわせる記憶の欠片
晴天のボロフェスタ3日目、街の底STAGEではくだらない1日のライヴが始まった。1曲目には「heel」。突き刺すような音に乗った美しいハーモニー。高値ダイスケ(Vo&Gt)は過去の記憶を1つひとつ思い出しながら丁寧に語りかけてくるように思える。
「やるせない」や「レッドアイズオルタナティブブラックドラゴン」ではサポートドラムである吉田隆生(Dr)の激しく跳ねるかのようなドラミング、太陽(Gt)、高値の鋭くも繊細なギター、河合祟晶(Ba)の地鳴りのように轟くベースが光った。観客からも歓声があがり、フロアの温度は急上昇した。
続いて演奏された「帰宅部」と「アメフト部」は、高値の心に住みつく淋しさのようなものが表現されている曲のように感じた。思いのままに体を揺らしたり拳をあげたり、まっすぐステージを見つめっる観客の姿が印象的で、それぞれの形で受け止め、消化しているようだった。最後まで感情と音を丁寧に重ね鳴らし合う彼らの姿は美しく、いつまでもライヴが続いてほしいと心から願った。
Text by 山崎更紗
Photo by 内田美早紀