ドミコ

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

これがドミコ節! 終始圧巻のパフォーマンス!

TETORAがロック・バンドたる姿勢を示したライヴをかまし、余韻が残るKBSホール。続いてGREEN SIDE STAGEに登場したのはドミコだ。どこか怪しげな音楽が流れる中、観客の手拍子・拍手とともにふたりが入場し、おもむろにセッションが始まる。

髪を振り乱しながら力強く切り裂くようにドラムを叩く長谷川啓太(Dr&Cho)と、さかしたひかる(Vo&Gt)のテクニカルなギター捌きで、すでに只者ではない雰囲気を醸し出している。長めのセッションから上手くイントロに繋ぎ、1曲目に演奏されたのは「問題発生です」だ。骨の髄までドスンと響きわたってくるような重厚感と圧倒的なパワーを、こちらも存分に身体で受け止める。すでに開始から10分近くが経とうとしており、まだ1曲しか演奏していないのにこの満足感。子どもを小脇に抱えながらぶち上がるお母さんの姿も見え、ここからのライヴがますます楽しみになる。

「ドミコですよろしくー!」とさかしたが挨拶をし、すぐに弾むようなリズムを刻む。次に披露されたのは「こんなのおかしくない?」だ。青白く光る照明の下、変幻自在に曲のペースを操るドミコ。タメを作って静かな間を作り、そこから次の音までの繋ぎでこんなに上手く魅せることができるバンドは他にいないのではないか? と思うほど、引き込まれる。4曲目の「あたしぐらいは」で雰囲気は一変。途中まで長谷川のドラムなし、ギター1本での入りとなり、さかしたの伸びやかな声がよく聞こえる。そして、さらにドミコらしいと感じたのは6曲目に演奏された「化けよ」だ。全体的に薄暗い緑の光がステージを包み、アンプの上に置かれた“Domico”のネオン管が映えているバックの情景が、声の抑揚と突き刺すようなドラムのエッジの効いたサウンドを際立たせている。

「ラスト1曲! ドミコでしたありがとうございました!」という挨拶の後、最後の曲に選ばれたのは「ペーパーロールスター」だ。アップテンポなギターリフに、フロアはたちまちノリノリだ。そして、最後まで衝撃的な場面を目撃させてくれるのがドミコだ。「もっと頂戴」といった具合で人差し指で挑発的な仕草をし、長谷川の底力的なプレイを引き出すさかした。見事にふたりの音がはまり合っている数分近い間奏セッション後のラスサビの威力は格別だった。

「せーんきゅう! ありがとう!」MCはほぼなしで、圧倒的な演奏ですべてを魅せるという格好よさ。これがドミコ節なのか。全身全霊、100%以上の力で目の前の楽器にすべてを込め、出し切っているように見えた。ふたりだけでこの空間を作り出しているという事実に終始圧倒された、圧巻のステージだった。

Photo by コマツトシオ
Text by キムラアカネ