空音

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

2年連続で登場。厚みの増したステージ

「KBSホール、調子はどうですか?」と現れたのは、昨年のボロフェスタ2021で2日目ORANGE SIDE STAGEのトリを務めたHIPHOPアーティストの空音だ。
2年連続で同ステージに登場すると、一曲目からステージの端から端までを移動し、KBSホールに集まった観客の温度感を確かめながらエンジンを温めていく。
大沢伸一をプロデューサーに迎えたアップ・ナンバー「GIMME HPN」では空音の抜群のラップスキルが光る。超高速ラップをいとも簡単に歌い上げ、そのスキルにこちらが舌を巻く。

「俺が“遊び方”教えるから、楽しんで!」と自らHands Upすると、観客は待ってましたとばかりに手のひらをステージに向け腕を振った。リリックや音楽に込めた想いを届けよう、伝えようとする空音の目はどこまでも真剣で熱い。それでも彼のライヴはいつもファン・ファーストで今夜もひとりひとりを楽しませることに全力を注いでくれた。

ライヴ後半は、街の底ステージでのパフォーマンスを終えたばかりのニューリーが登場し、1MC、1DJ、1Bassというスペシャル・アクトで「all done」「CIRCUS」を披露した。ニューリーを「よき友です。よきライバルでもあります」と紹介すると、ベース・ソロでは“最高でしょ?”とでもいうようにオーディエンスを煽った。

ライヴやフェスで目にするたびに、存在感が増し、センスが磨かれ続けているように感じる空音。この日はBlack petrolのステージにも登場し「STREET GIG feat.Black petrol」をプレイ。フェスの遊び方も熟知していてなんとも頼もしい。

21歳、地に足の着いた歌詞とパフォーマンスが、年上も年下も、HIPHOP好きもそうじゃない人も関係なく会場全体を楽しませてくれた。
このボロフェスタも、彼がさらに高く飛躍するために置かれた、跳び箱の前のロイター板にすぎないのかもしれない。

Photo by 羽場功太郎
Text by 奥野ひかり