TOKIMEKI☆JAMBOJAMBO

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

ボロフェスタの体現者

水曜日のカンパネラの熱気冷めやらぬ中、GREEN SIDE STAGEではTOKIMEKI☆JAMBOJAMBOのパフォーマンスが始まろうとしていた。ボロフェスタ主催のひとりであるオカムラヒロコ(Piano)率いるインストゥルメンタル・バンド。今やボロフェスタには欠かせない存在となっている。マイクを通さない岩井ブロンソン(Drums)の「せい!」という掛け声とともに、全員の厚みを持った音で私たちの耳は満たされていった。

彼らは晴れやかな笑顔で楽しそうに変拍子を操る、その表情と手とのギャップにまず驚かされる。そして言葉がないインストゥルメンタルだからこそ、ストーリー性のある彼らの楽曲を聴いて様々なこと想像する。曲ごとに華やかさや激しさ、温もりやタイトさが表現されていて、セットリストにもまた物語としての意味がある気がした。本人たちが意図しているのかどうか分からないが、これまで長く続いてきた歴史あるボロフェスタのイメージと重なる。

MCに入ると「ボロフェスタ最高やな!」と嬉しそうなハヤシ・トト(Bass)。いろんな人が混ざって出演するボロフェスタのよさを語り「知らないものを求めてきてる人が来るボロフェスタ、サブスクだけでは得られないものを欲しているあなたたちが大好き!」と会場全体へ愛を叫んだ。オカムラも「いろいろ充実しているボロフェスタ!」と、人も食べ物も音楽も全部が揃っているボロフェスタを楽しんでほしいと話した。

言葉がなくても通じ合えるということ、彼らがいちばんに誰よりもあの時間を楽しんでいたということ、物語を作るように生まれる音たち、何が起こるかわからない変拍子に常にドキドキさせられている感覚。そして何よりも、彼らを初めて見たであろうお客さんたちが、彼らの音楽に安心して身を委ねていたこと。あの35分間に、“めっちゃええフェス・ボロフェスタ”の全てが詰まっていたのではないだろうか! まさにボロフェスタの体現者だった。

Photo by ウチダミサキ
Text by 風希