いつまでも暴れさせてくれ
ORANGE SIDE STAGEのchelmicoが終わり、そのお客さんの耳につんざく音が届く。Limited Express (has gone?)の登場だ。
前方のお客さんのヘッドバンギングが激しく、縦揺れなのか横揺れなのかわからないほどだ。後方のお客さんもわけも分からずそれに釣られ、波打つように揺れ動く。
YUKARI（Vo）のセット全体、いやボロフェスタの会場全体を使った全力な歌声と、その自由を可能にさせるJJ（Vo＆Gt）、谷ぐち順（Ba）、YASUNORI MONDEN（Dr）、KOMADORI（SaX）の演奏。
YUKARIは「死んでもいい」と思ってやっていると宣言するが、JJに「違うでしょ」となだめられる一幕もあった。
それでもとにかく、かっこよくやりたいーーただそれだけだと言うYUKARIは、スピーカーに乗ったりでんぐり返しをしたり、今年のボロフェスタ大型セットウルトラマンの横で歌ったりした。
さらに、ラストの「This would is too small for me」でYUKARIは、ステージ上でなく客席で脚立の上に立ち、叫び歌う。
観客はその脚立を中心に、円形にモッシュを始める。
ここまで自由に、全身で鳴らせるのは、お客さんやスタッフや、アーティスト……ボロフェスタを愛するみんなの支えがあるからである。
ステージ上のスピーカーや客席の脚立を支えている人、Limited Express (has gone?)の重くて鋭い音を調整する人、
声は出せないけれど全力ではしゃいでいる人たち、そのすべてがともに支え合っているのだ。
彼らの演奏のなかで、今年もみんなマスクを着けて暴れているという現実が脳裏によぎる。
マスクを着けていても着けてなくても、息苦しい日々は変わらない。
だから、暴れてくれ、暴れさせてくれ、Limited Express (has gone?)。
