可愛いって強くてかっこいい
街の底STAGEがピンク色の照明で彩られる中、黒のタイトスカートにロングブーツ、ショッキングピンクのトップスにブロンドの髪をキラキラと輝かせて、HYPER GALの2人が登場した。ナノボロ2022にも出演し、その異彩さで会場を圧倒していた彼女たち。今回はどんなパフォーマンスで魅了させてくれるのだろうか、とスタートから会場内の空気もすでに熱を帯びている。
ノイジシャンの角矢胡桃（Dr）、美術家の石田小榛（Vo）の2人から構成されるツーピース・バンド、HYPER GAL。堂々と力強い眼差しでフロアを見渡しながらパフォーマンスする彼女たちは、タイトなファッションで武装して戦っているかのようだ。無機質で周囲を突き放すかのようなヴォーカルと、ありったけの力で周囲を蹴散らしていくようなタイトなドラム。それぞれが個性を放っているのにその個性同士がぶつかることはなく、2人のパワーが合わさって全面に押し出されてくるので、無敵のヒロインのストーリーを見ているかのような気持ちになった。
途中「HYPER GALでーす、今日は見てくれてありがとうございまーす」と気だるい感じで挨拶をした後、フロアを睨みつけるように石田が歌いだす。その目をフロアのお客さんたちもまた真剣に見つめ返して、街の底STAGEがだんだんとひとつになって盛り上がっていく。最後は彼女たちもフロアも全員が、思い思いに体を動かしながらHYPER GALのパフォーマンスを精一杯楽しんでいた。
彼女たちの可愛らしい見た目から放たれる力強さは、彼女たちの芯があってこそ。芯のぶれないステージ・パフォーマンスに圧倒されながら、それぞれが自分についても見つめ直すことのできる熱い時間となったのではないだろうか。
