水曜日のカンパネラ

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

圧倒的な歌唱力を誇るステージ上の妖精

ライヴ開始予定時刻10分前。一番大きなオレンジステージをいっぱいにしたのは、今年10月に「ティンカーベル/鍋奉行」をリリースしたばかりの水曜日のカンパネラだ。 2021年9月にコムアイから詩羽(うたは)へ。新体制になって初めてのEP『ネオン』収録曲を中心に、代表曲から新曲までバラエティーに富んだセットリストが組まれた。オーディエンスと一緒に盛り上がる仕掛けがさまざま盛り込まれ、会場は終始大盛り上がり!

ステージ直前、ボロフェスタスタッフによる前座「スキャット・ウルトラマン」がゲリラ的に始まった。パフォーマンスへ向けて、会場の一体感を高めていく。いつもユニークな登場で楽しませてくれる水曜日のカンパネラ。今回は詩羽はどこからやってくるのか。「今日は後ろからの登場になりま〜す。どうも、どうも? どーもー!」

「ティンカーベル」を歌いながら、詩羽はスモークが上空に漂うステージにたどり着く。ボリューミーなスカートを身に纏った姿は、まるで妖精そのもの。チャーミングに笑ったかと思うと、眉間に皺を寄せ拳を握る。華奢な体からは想像もできないほどパワフルな歌声を、会場に響き渡らせる。

曲調や歌詞に合わせて歌声が次々に変わっていく。水曜日のカンパネラはキャッチーな世界観やバックで流れるミュージックなどに気を取られがちだが、ボーカリストの歌唱力があってこそ、その世界観が昇華されるのだ。象徴的だったのは4曲目に披露された「バッキンガム」。テンポが早くリズムを取りずらい楽曲だが、詩羽はオーディエンスを煽る余裕を見せながら華麗に歌い上げる。中盤に披露された代表曲「桃太郎」でも、それは同様。吉備団子を彷彿とさせるクリアのウォーターボールに入って会場へダイブするも、ステージにたどり着くや否や、何食わぬ顔でボーカルを続けた。

終盤にはSNSで話題沸騰中の「エジソン」を披露。YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』での詩羽のパフォーマンスは、公開から1ヶ月経たず再生回数570万回以上を記録した。ライブでも、彼女の七色に変化する歌声は健在。圧倒的なエンターテイメント力で会場を盛り上げる。曲の途中ではミラーボールが回り始め、会場はすっかりダンスフロアへ。ラストソング「招き猫」まで彼女のラブリーな魅力は全開だった。「じゃあな♪ ビッグラブ〜♡」

Photo by リン
Text by 妹尾龍都