愛と平和を歌って戦ってくれる私たちのヒーロー
昼から始まり、どこを切り取っても熱い場面になるような盛り上がりを見せたボロフェスタ2022初日。ついに最後のバンド、ハンブレッダーズの番がやってきた。音出しの段階から曲が披露されるたびに拍手が鳴りやまず、ホール内の全員が彼らの登場を待ちわびていることが痛いくらいに伝わってきた。
「スクールカーストの最底辺から青春を歌いにきました」と、ムツムロアキラ(Vo&Gt)が声を出すと同時に、ステージは始まった。待ちきれなかったお客さんたちはすぐに強く上へと拳を掲げる。ずっと待っていた彼らの大きな音が投げかけられるたび、ボロフェスタ初日を駆け抜けた私たちの疲れもすぐに消えていってしまう。大きなステージなのに、なぜかその瞬間、小さなライブハウスで演奏する彼らが思い浮かんできた。LiveHouse nanoをホームと称し、これまでずっと私たちの近くでいつも寄り添ってくれていたハンブレッダーズが、確かにそこに居たのだ。2020年2月に1stフルアルバム『ユースレスマシン』でメジャーデビューを果たし、数々のステージを経験してきた彼ら。今まで以上に大きな情熱と優しさで私たちを受け入れくれていて、いつまでも私たちにとって身近で安心感で包んでくれるヒーローみたいな存在であると感じられたことに嬉しくなってしまった。
今年10月に、それまでサポート・ギタリストを務めてきたukicaster(Gt)の正式加入が決定。加入後初となる京都でのライヴだった。いつも以上に生き生きとステージを駆け回るメンバーたちから、全く目を離すことはできなかった。
ムツムロはライヴ終盤に主宰のひとりである土龍とのエピソードを語り、「お前の書く言葉でリストカットするやつの手首を止めろ」と言われたことが、今も曲作りの根底にあるということを教えてくれた。今回披露された「BGMになるなよ」や「ライブハウスで会おうぜ」「DAY DREAM BEAT」などいつも心に寄り添ってくれる歌詞たちが、今まで以上に深く刺さって離れなくなるようなエピソードだった。
最後「ありがとうボロフェスタ、愛しています」とムツムロは嬉しそうに笑っていた。ハンブレッダーズが精一杯に音を鳴らし続けていたこの時間は、私たちを全部認めて受け入れてくれるようなあたたかい居場所だったと言い切れる。彼らと私たちみんなでホール内を愛で埋め尽くすことができたのではないだろうか。