PIGGS

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

全身全霊アイドル

2022年ボロフェスタ、1日数回行われていたスキャットウルトラマンダンスタイムもいよいよ最後に。中央に運ばれたステージを囲んで、4日間で身体にしみついたであろうダンス会場が一体となって踊る。そうして会場のボルテージも高まったころ、ペンライトを持ったファンの叫び声に出迎えられ、満を持してステージに現れたのは、ピンクの衣装に身を包んだ全身全霊アイドルPIGGSだ。

コロナウイルスが蔓延し始めた2020年1月、プー・ルイが社長兼プロデューサー兼メンバーとしてアイドルグループの結成を発表。同年4月にグループ名をPIGGSとし、7月にデビューアルバム『HALLO PIGGS』をリリースした。2023年1月11日にもメジャー・ファースト・アルバム『負けんなBABY』をリリース予定。ボロフェスタのルール上、マスク着用のうえで声出しOKとなる今回、彼女たちにとって、声出しOK初のライヴになったのではないだろうか。

私がまず驚かされたのは彼女たちのダンスのキレと、それを40分ぶっ通しで、クオリティを下げることなくむしろ徐々にキレも増していくような圧巻のパフォーマンスである。「今日はマスク越しだけどみんなの声聞かせてくれよー-!」とメンバーが煽ると、ファンとの呼吸も抜群で、思わず柵の向きが変わってしまうほどの熱量だ。

そして表情まで気を抜かないのも彼女たちの凄さだ。歌に合わせて表情を変え、見ている者をみな惹きつける。ひとりひとりの目を見ながら歌い、最後の最後まで笑顔を絶やさないPIGGSは、まさに全身全霊、プロのアイドルであった。

大トリを目前にして行われたGREEN SIDE STAGEでのPIGGSのライヴ。彼女たちのことを知らなかった人もいるだろう。しかし今日、そんなPIGGSの魅力に気づけた人、沼に片足を踏み入れそうな人はきっと会場に何人もいたのではないか。かくいう私もそのひとりである。ホールにいるはずなのになぜかライヴハウスにいることを錯覚してしまいそうな、最初から最後まで全身全霊踊り続けたPIGGS。

彼女たちの魅力を知らぬままボロフェスタを終えると後悔するところだった。

Photo by コマツトシオ
text by ユウ