春ねむり

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

ホールで舞い魅せた圧巻のステージ

ボロフェスタ2022の最終日も折り返した頃、GREEN SIDE STAGEでは春ねむりのライヴが始まろうとしている。リハーサル後もステイし、そのままオン・ステージだ。白い光が照らし可憐な白い衣装を見に纏った春ねむりが姿をあらわにした。

ライヴは「Déconstruction」から始まったのだが、すぐにその存在感に圧倒される。高めの三つ編みを振り乱しながら手を横に、そして上に広げ、スタンドマイクの前で自在に力強く動く。歌声はもちろんのことながら、惹きつけられるパフォーマンスは圧巻だ。続く「kick in the world」では、頭を振りながらシャウトをしたり、フロアに向かってキックのフリを見せたりとパワフルなライヴ・パフォーマンス。響き渡るリバーヴに余韻も感じる。可愛らしい笑顔でジャンプをしたりと、とにかくステージの上でパワフルに舞っている。

これだけのパフォーマンスをしているから当たり前ではあるのだが、息を切らしながらMCに入る。「私の音楽は必要ない人には本当に必要ないと思うけれど、もしこれが必要だなと思う人がいたら、何かちょっとでも渡して返せたらなと思います」と繊細な声で話し、先程までの力強い声とのギャップにもますます目が離せなくなる。「私はしたいように踊ってしたいように歌って帰るので、したいようにそこにいてくれたら」と伝えた後、「そうぞうする」から「森が燃えているのは」を続ける。くるくると回ったり、早口で詰め込んだり、「Who the fuck is burning the forest?」に合わせて力強く腕を突き上げたり、と加速するパワフルさだ。

特に感情が揺さぶられたのは、6曲目の「春火僚原」で「死にたいと思うのはなぜ 生きたいと思うのはなぜ」と全てを込めた絶叫に近いシャウトをし泣きそうになりながら倒れ、そのまま「セブンス・ヘブン」へ突入した流れだ。震えながら泣いているようにも見えるほど没入しているパフォーマンスに思わず息を飲み、ステージから目が離せない。

一挙手一投足にまで力がこもっている。春ねむりは力強く、そして、美しかった。「祈りだけがある」でパフォーマンスを終わり、颯爽と舞台から去った。何だか凄い場面を目撃してしまった気持ちになるほど揺さぶられた、圧巻のステージだった。

Photo by コマツトシオ
Text by キムラアカネ