リーガルリリー

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

おんがくよ、人を生かせ

ボロフェスタ最終日の昼下がり、よく晴れた空と、暖かい会場の雰囲気に包まれて登場したのはリーガルリリー。今回ボロフェスタ初登場である。たかはしほのか(Vo.Gt)の少し高いマイクに背伸びして歌う姿はかわいらしいが、演奏が始まると優しくもしっかりとした、まっすぐな線のようでいちばん奥まで届く声が会場に響き渡る。

思わず体を揺らしてしまう「東京」から、次に「きれいなおと」へ。オレンジの照明に照らされる3人を見て、まるでキラキラしたおもちゃの宝石箱を覗いているかのような感覚に陥った。

ステージは中盤、「9mmの花」を演奏する。これまでの曲調とは一変、今まで以上に激しい様子で楽器をかき鳴らす。この曲を聞きながら、筆者の脳裏には昨日どすこいステージで行われたウクライナ避難民の方々のトークセッションが浮かんだ。「国境を越えた先にも私たちと同じ花が咲いています」たかはしの一言が今も頭の中で繰り返される。

「ノーワー」そして新曲「地球でつかまえて」と今年8月にリリースされたデジタルEP『恋と戦争』に収録されている2曲が続き、終盤へと差し掛かる。最後は代表作ともいえる「リッケンバッカー」。さっきまで音楽に身をゆだねながら揺れていたオーディエンスも思わず拳を上げる。“おんがくよ、人を生かせ”。このフレーズはまさしくボロフェスタそのものであった。

Photo by shohnophoto
Text by ユウ