奇妙礼太郎

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

心を優しく包み込む贅沢なセンチメンタル・タイム

「ウルトラマンおるやん、スペシウム光線出すやん、3分で帰らんでもええやろ、なぁウルトラマン♪」奇妙礼太郎のライヴは、パフォーマンス前に始まった。リハーサル中に、ボロフェスタ2022のアテンションを即興メロディに乗せて歌唱。彼の手にかかれば、なんだって歌詞になり曲になる。「俺たちの祭りだ。安心して遊んで行こうぜ〜」。

ライブでは新旧織り混ぜながら全7曲を披露。初めから終わりまで、センチメンタルに浸れる贅沢な時間が流れていた。2021年リリース『ハミングバード』収録曲「思い出の店」では、まるで夕日のような暖かいオレンジのライトに照らされて、会場の壁面に奇妙礼太郎の影が映し出される。澄み渡った優しい歌声が、懐かしい思い出の世界へ誘ってくれた。彼とオーディエンスのウェットな関係が出来上がっていく。

しっとりとした雰囲気から一転して、演奏されたのは「ピアノメン」。軽快なピアノのリズムに思わずスウィングしたくなる。奇妙礼太郎も着用していたベージュのコートを頭にかぶり、ご機嫌な様子で身体を揺さぶった。

わたしはわたしを かわいがってあげる もっともっともっと 甘やかしてあげる。「わたしの歌」を伸びやかなロングトーンで締め括って、最後の曲へ。ポップな曲調に合わせて“ほんまに美味しいお好み焼き”とにっこり。1ステージでは収まらない奇妙礼太郎の魅力に、オーディエンスはパフォーマンスが終わっても拍手をし続けた。冒頭の彼の言葉が頭を過る。ワンステージで帰らんでもええやろ、なぁ礼太郎さ〜ん! 17時10分からのソロ・ステージにも期待大!

Photo by 瀬藤育
Text by 妹尾龍都