フー・ドゥ・ユー・ラブ

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

街の底から放つ独特の世界観

怪しげなサングラスにジャケット、上裸に薄めのベストという出立ちの男性2人。街の底STAGEはなにやら怪しげな雰囲気が漂い、これは只者ではないぞ! と直感で感じる。いまからここ街の底で熱演を繰り出すであろうフー・ドゥ・ユー・ラブは、ex.キイチビール&ザ・ホーリーティッツの貴一(Vo&Ba)と、本日休演の岩出拓十郎(Vo&Gt)、樋口拓美(Dr&Cho)からなる3人組バンドだ。2021年夏に結成されたバンドということで、今日初めて観るという人も多いのだろう。彼らに関心を持つ人々が集まり、街の底STAGEには開始前から溢れんばかりの熱気がたちこめている。

「1,2,3,4〜!」といった掛け声や癖のあるギター・リフ。そして、どこか懐かしいようなメロディにタイプの異なるツイン・ヴォーカルの声質が織り重なる。途中、貴一が自らのことを「異様な風体でいい曲やるバンド」と話していたように、そういうコンセプトであるが故の「いい曲だなぁ」という実感が湧く。「二人の最期」では、ふり下ろすように繰り出される一定のリズムラインに自然と体が揺れる。

配信されている曲は7inchアナログの2曲だけだというフー・ドゥ・ユー・ラブ。「Tシャツも作ったんだけど、今日は、ない。7インチのレコードも、今日は、ない」と、手違いで物販に出せないことを貴一が呟くように話すと、フロアからは笑いが起きる。そして7inchの曲を、と言い、岩出がメインの「はにかみファイリングラブ」と貴一がボーカルの「呼び合った!」を続けて披露。来春にはアルバムも出るというから、それも楽しみだ。7曲目の「愛の旅」では、樋口も青く光るサングラスを外し、白い歯を見せながら笑顔でドラムを叩いている。1本のライヴの中で、切ないメロディからバチバチのロック・サウンドまで、ボーカルを交互に代えながら幅広く展開されているのが魅力的だ。

街の底から独特な存在感を放ったフー・ドゥ・ユー・ラブ、今後の彼らも目撃していきたいと感じた。

Photo by リン
Text by キムラアカネ