えんぷてい

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

ロマンティックな揺らぎに包まれて

少し前のライヴハウスが戻ってきたかのような、心高ぶる街の底STAGE。1組1組とステージが進んでいくごとに、入場待機の列もどんどん長くなっていく。もちろんお目当てのバンドを見に来る人も多いだろうが、その懐かしい空気感に誘われて、次はどんなバンドが出るのだろうかと期待してやってくる人も居たのではないだろうか。ライヴ開始前から多くの人で埋まったフロアに登場したのは、2020年に名古屋で結成されたえんぷていだった。

ステージ前には彼らのロゴをかたどったネオンライトがぴかぴか光っている。照明も暗く落とされて大人っぽいムード漂う中、彼らは1曲目「メノウ」を始める。大きな揺れの中の細かなリズムに、耳も心も満たされていく。彼らの演奏を聴きながら体を揺らすのがとても心地よかった。

実は京都でのライヴは初めてだったらしいえんぷてい。オクナカ(Vo&Gt)は「京都、初めて来ました」と嬉しそうにフロアを見渡して、たくさんの人が見に来てくれたことを噛みしめているようだった。そんな彼らはもうすぐやってくる11月23日に1stアルバム『QUIET FRIENDS』をリリースする。「今日みて、いいなと思った方はぜひ」とアルバムの宣伝をすると、その後アルバムから1曲「Dance Alone」を披露。今日彼らの演奏を聴いて気になった方は、ぜひ情報をチェックしてほしい。

抜け感がありつつも、その抜け感の隙間から熱が見え隠れするロマンティックな楽曲を聴いて、どんどん彼らのことが気になっていく。あまりMCでは多くを語らず、自分たちの世界に入り込んでしまっているかのように演奏する彼らに、少しずつ恋が始まっていくような気持ちが芽生えた。これまで知らなかった音楽と運命的な出会いを果たせてしまうのもボロフェスタの魅力。初めての京都のステージを堪能したえんぷていにドキドキさせられっぱなしの40分間となった。

Photo by 瀬藤育
Text by 風希