ミツメ

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

日々の中で、音楽に集う空間

気温もちょうどよく、会場も過ごしやすくなってきたお昼過ぎ。リハーサル中のORANGE SIDE STAGEには徐々に人が集まってきた。
2009年結成の4人組のバンド、ミツメの出番だ。

「睡魔」から演奏を繋いだまま「なめらかな日々」へ。
「トニック・ラブ」のアウトロに向けて、音の温度も会場の温度も高まる。

開場に漂うスモークは、ミツメの演奏とマッチして、現実から音の世界へと連れ込んでくれる。

そして、11月2日リリースのシングル「メビウス」を披露。
長すぎた季節が終わっていき、部屋や街のにおいの変化を感じられる、今の時期にピッタリの1曲だ。

新曲「チョコレート」では、チョコレートのドロドロ溶けるオノマトペをそのまま表現したかのようなドラムのリズムと、キリッとしたギターの音が印象的だ。会場も高揚しているのが感じられる。

ラストはライヴ定番曲「エスパー」だ。
ミツメを見た人々は、今日、どのように帰るのだろうか。
ひとりで帰る人も、カップルや家族で帰る人も、現実に戻るその時のことだ。
この曲で、名前も知らない人の日常を想像することができた。

人にはそれぞれの日々があって、目まぐるしくて流れのまま過ごしたり、人生を揺るがす大きな出来事が起きたりする。
そんな人々が、ひとつの会場に集い、ひとつのアーティストを見る。
その意義がミツメのライヴにはあった。

Photo by shohnophoto
Text by 小池迪代