THE NOVEMBERS

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

もっと欲しい、魂の音に耳を犯される

小林祐介(vo、gt)の深々としたお辞儀から始まった、THE NOVEMBERSのパフォーマンス。オレンジステージはオルタナティヴ・ロック好きでいっぱい。2010年リリースの「dysphoria」や2013年リリースの「鉄の夢」など、昔からファンに親しまれている曲もセットリストには組み込まれ、ニッチ層にも嬉しいステージとなった。

ライヴ中、MCはほぼなし。曲と曲の間で感謝の意を伝えるのみ。小林は身体を丸めてシャウトをしたかと思えば、低い歌声でリズムを刻む。そのコントラストは中毒症状を引き起こす。多くを語らずとも、攻撃的なヴォーカルと眼差しがあれば、それだけでいい。魂のシャウトはオーディエンスの心に突き刺さった。

ケンゴマツモト(gt)、高松浩史(ba)、吉木諒祐(dr)のパフォーマンスも切れ味が鋭い。ズシンと重たくのしかかるような音で、会場のテンションをMAXまで引き上げていく。激しいパフォーマンスが続いても、演奏のクオリティは変わらない。周りを見渡せば、音と音のぶつかり合いに熱狂するオーディエンスばかりだった。

ラストソングは「Rainbow」。“君の味方でいるよ”と優しい歌詞が胸に突き刺さる。ホワイトの照明が点滅し、印象的なクライマックスへ。最後はバンドメンバー4人揃ってお辞儀。結成17年目を迎えるバンドの絆がそこにあった。

Photo by リン
Text by 妹尾龍都