E.O.U

ボロフェスタ2022

どこか遠い彼方へ

HYPER GALからバトンを引き継ぎ、街の底STAGEに登場したのは、ボロフェスタには初出演となるE.O.Uだ。

日常から非日常へと誘うシュールな空間は、実験的で蠱惑的な気配を感じさせるも、聴いているとどこか安心できる。静かな場所に連れていってくれるような音がここにはあった。

言語のコミュニケーションはなく、音のみでお客さんを巻き込む彼のライヴは、お客さんとのゆるい一体感が心地よい。

脳天から爪先まですべての細胞を色彩豊かなエレクトロニック・サウンドに満たされながら、時間がゆっくりと解体されてゆくような幻覚に恍惚となった。

とにかくデカい、有機的な音像は、流れる時間のスパンが壮大なサウンドスケープを構築する。何百億年もの宇宙の途方もない時間の中で、ただ1度だけ生じた、僕という人間が今、こうして考えていることの意味は、一体、何なのだろう。音が身体に溶け込んでいくただ中で、そんな意味の意味についてうじうじ考えたりした。

でも、そんなことやあんなことも忘れてしまいそうなくらい耳に染みるライヴだった。早く観た人と語り合いたい。

Text by 石上温大