ドレスコーズ

ボロフェスタ2022
ボロフェスタ2022

過ぎた夏、ロックンロール

ボロフェスタ3日目。KBSホール前には入場を待つ、長蛇の列ができあがっていた。並んでいるな、と感じるほどの列だった。きっとそのお目当ては、ロックンロール界の雄、ドレスコーズなのだろうと思う。

改めてボロフェスタ3日目。ORANEGE SIDE STAGEトップバッターを務めるのは、ドレスコーズ。飄々とした様子で志磨遼平(vo./gt.)が登場すると深々と一礼し、昨日リリースしたばかりの8枚目のアルバム『戀愛大全』から「エロイーズ」を披露する。

ピロピロとしたシンセと、捻くれたリフ、波打つドラム、そして一度聞いたら忘れられないジャンキーな声。この凝縮された、バンド特有の快楽性が堪らない。会場の雰囲気も、志磨の積極的な呼びかけと強烈なパフォーマンスによって、徐々に徐々に熱気が高まっていき、ライヴの後半の一体感はとくにすごかった。

声は出せなくとも、全身を使い、喜びを表現をするリスナーと志磨。このグルーヴが作り出す熱狂が、“夏を舞台にした架空の恋愛短編”『戀愛大全』の空気に通ずる、過ぎた夏を憂うロマンチズムとロックンロールの享楽性を感じさせるステージを作り出していた。

Photo by リン
Text by 増田